整備工場

整備工場の改善ポイント|点検項目の細分化で品質と収益アップ

こんにちは、ツネオキです。

本日は品質と収益アップの両立について書いてきます。

こんな悩みを持つ整備工場の皆様におすすめです。

「車検したばかりなのに・・・」と苦情をもらうことが多い
故障修理後に出戻りが発生している
整備士によって品質のバラツキがある
車検で整備をお勧めしても収益に結びつかない
追加の整備を受注するのが社員個々の意識に頼っている

整備工場を経営されているなら思い当たる方も多いのではないでしょうか。もしかすると工場長の方が一番頭を抱えているのかもしれません。

本日はこのような悩みにお答えし、明日から実践できることをまとめます。

目次

品質向上の目的とは何でしょうか?

自動車整備工場の理念やスローガンには、
「地域の車社会の安心、安全を提供する」
「お客様のカーライフをサポートする」
「整備品質向上に努め社会に貢献する」

といった想いが入ったものが多くあります。

品質向上は顧客や地域社会のために必要なことです。

一方で、整備工場は継続的に顧客を獲得し、収益を上げ続けていかなければいけません。

少し乱暴な言い回しかもしれませんが、「品質向上している」「品質に自信がある」と言いながら収益に苦しんでいるのは、その品質が顧客にとって的外れであったり、ニーズとマッチしていないことが考えられます。

 

企業は商品・サービスを通じて顧客に価値を提供する

例えば、

バッテリー交換なら、

「バッテリー上がりというリスクや不安の解消」

「安心してドライブに出かけられる」

という価値です。

またカーレスキューなら、

「旅行中のトラブルで家族全員落ち込んでいる時に、楽しい旅行を続けられる」

という価値です。

整備品質の向上でどんな未来を提供できるか。ということが顧客への価値となります。

 

自動車が故障することが無ければ、このようなニーズは生まれないので、

顧客としては後ろ向きな商品・サービスと位置付けられていることを認識しなければいけません。

 

その後ろ向きな商品・サービスを前向きなものに転換するためには、

「故障を直す」ことだけを提供することから、「顧客が実現したいライフスタイル」が提供、実現できるサービスにシフトする必要があります。

自動車整備の仕事は、お客様のライフスタイル、人生に寄り添い続ける大切なものだということです。

誇りをもって取り組んでいきましょう。

 

品質向上と収益アップは両輪

顧客ニーズにマッチした価値が提供されていれば、結果として得られる利益は上がっているでしょう。

経営者にとって決算書が通知表と言われるのと同じで、利益を頂くことは自社の提供価値への評価です。

金儲けが透けて見えるような強引な提案は顧客離れを起こしますが、一人一人に寄り添ったサービス提供を心がければ、決して「売りつけられた」という感情をもつことはないでしょう。

 

「安くしてあげること」が顧客満足という勘違い

自社のサービスを値引きしたり、低価格で提供して収益をあげられるのは、圧倒的な資本と規模をもった強者の戦略です。他社を撤退に追い込むように価格を下げ続け、他社が市場からいなくなったら、価格を徐々に上げていきます。

こういった大手と戦っては消耗戦で現場の整備士が疲れ切ってしまいます。しっかり自社にあったアプローチをしていきましょう。

 

「安く感じていただくこは」必要

自動車の故障はお客様にとって予期せぬこと。だから思わぬ出費で気持ちは沈みます。

車検でも思わぬ不良個所が見つかって出費が増えると気分がいいものではありません。

こういったお客様の気持ちを、転換してあげることが大切です。そして、修理費用を安く感じてもらう仕事が必要です。

丁寧な点検と整備内容への納得が不可欠となります。

「ちゃんと診てくれているのかな」

「ほんとにこの修理は必要なの」

という気持ちを持っていては、どれだけ素晴らしい整備を行ったとしても正当には評価されません。

 

コツコツ信頼を積み上げる

「全てあなたに任せている」というような人間関係が構築されているロイヤルカスタマーであれば、あなたに任せられることがその人にとっての価値です。

そういう領域で活躍する整備士さんや整備工場はほんの一握りです。

一足飛びでそのポジションを得られることはありません。コツコツ信頼を積み上げるほか方法はないのです。

 

点検項目の細分化する

ワイパーの点検

一般的な分解整備記録簿には、
「ワイパーの拭き取り状態」と「視野を確保する装置」の2つの項目があります。

これでは、あまりにも漠然としており、
整備士それぞれの捉え方や意識で「ワイパー点検」の価値が大きく変わってしまいます。

結果として、点検の品質(内容)にバラツキがあり、
「ワイパー替えたのに、拭き取りが良くならない」という苦情や不満足を生むことになります。

ワイパー点検の細分化の例

フロントワイパー ラバー 状態 亀裂、劣化ヒビ 正常 注意 要整備
ラバー 拭き取り スジ、
ビビり、拭き取り不足
正常 注意 要整備
ブレード さび、損傷、
ガタツキ、取付不良
正常 注意 要整備
アーム ガタツキ、さび、曲がり 正常 注意 要整備
モーター 異音、動作不良 正常 注意 要整備
リアワイパー ラバー 状態 亀裂、劣化ヒビ 正常 注意 要整備
ラバー 拭き取り スジ、
ビビり、拭き取り不足
正常 注意 要整備
ブレード さび、損傷、
ガタツキ、取付不良
正常 注意 要整備
アーム ガタツキ、さび、曲がり 正常 注意 要整備
モーター 異音、動作不良 正常 注意 要整備

このように、整備士の皆さんの頭の中にある点検内容を可視化することで、点検漏れが減らすことが出来ます。

ワイパーの点検を依頼したお客様にとっても、「ワイパー異常ありませんでした」と一言で報告されても不安を解消しません。

しかし、正常な部分、注意箇所(今後整備が必要になる恐れのある箇所)、整備が必要な個所を詳細な点検表と共に説明すれば、点検に対する信頼が上がり、お客様に納得して頂けます。

点検結果への信頼を勝ち得ることで、その後の整備提案も聴いて頂きます。提案のバリエーションも増えるため収益に繋がります。

このようにして他の項目についても細分化してみましょう。

ライト・ランプ類

ヘッドライト レンズ 割れ、ヒビ、取付ガタ、折れ(左・右・両方) 正常 注意 要整備
レンズ くすみ、黄ばみ、コート剥がれ、水滴(左・右・両方) 正常 注意 要整備
ロービーム球 球切れ、色、光軸、明るさ(左・右・両方) 正常 注意 要整備
ハイビーム球 球切れ、色、光軸、明るさ(左・右・両方) 正常 注意 要整備
車幅灯 レンズ・球 割れ、ヒビ、球切れ、点灯不良、色(左・右・両方) 正常 注意 要整備
ウインカー レンズ・球 割れ、ヒビ、球切れ、点灯不良、色(左・右・両方) 正常 注意 要整備
フォグランプ レンズ・球 割れ、ヒビ、球切れ、点灯不良、色(左・右・両方) 正常 注意 要整備
ブレーキランプ レンズ・球 割れ、ヒビ、球切れ、点灯不良、色(左・右・両方) 正常 注意 要整備
尾灯 レンズ・球 割れ、ヒビ、球切れ、点灯不良、色(左・右・両方) 正常 注意 要整備
バックランプ レンズ・球 割れ、ヒビ、球切れ、点灯不良、色(左・右・両方) 正常 注意 要整備
リフレクター(反射板) レンズ 無し、割れ(左・右・両方) 正常 注意 要整備
ナンバー灯 レンズ・球 割れ、ヒビ、球切れ、点灯不良、色 正常 注意 要整備
車内灯 レンズ・球 割れ、球切れ、点灯不良 正常 注意 要整備
その他ランプ類 正常 注意 要整備

ランプ類は自動車の前後・左右に豊富に取付されています。点検チェックを一行にまとめた簡易的な点検表では、記入漏れや点検漏れが発生しやすくなります。また、記載不備で点検の二度手間も発生しやすくなります。人の注意力には限界がありますら、整備工場として仕組みで解決することが大切です。

 

タイヤ

前輪タイヤ サイズ 【      】適合、不適合
溝深さ 右残  mm 左残  mm 正常 注意 要整備
空気圧 減り、パンク(右・左) 正常 注意 要整備
外観 亀裂、膨れ、偏摩耗 正常 注意 要整備
ホイールナット 緩み、適正形状 正常 注意 要整備
後輪タイヤ サイズ 【      】適合、不適合
溝深さ 右残  mm 左残  mm 正常 注意 要整備
空気圧 減り、パンク(右・左) 正常 注意 要整備
外観 亀裂、膨れ、偏摩耗 正常 注意 要整備
ホイールナット 緩み、適正形状 正常 注意 要整備
スペアタイヤ サイズ 【      】適合、不適合
空気圧 減り、 正常 注意 要整備
外観 亀裂、膨れ、偏摩耗 正常 注意 要整備

タイヤの点検は、ガソリンスタンドやカー用品店などでも販売促進の一環で取り組まれています。

整備工場として差別化も必要です。「そろそろ交換時期ですよ」の根拠が大切です。

随時点検項目を追加していきます。お楽しみに。

 

点検での収益アップ

目先の収益を考えて整備の提案をすると、的外れな提案になってしまいます。闇雲に手あたり次第提案するのではなく、お客様に寄り添った提案を心がけましょう。

 

収益 = 点検内容の報告時間 × 提案の質 × 徹底度合い

 

整備点検での収益は上の式に当てはまります。各項目を最適化し、収益を最大化させましょう。

 

点検内容の報告時間

統一されたフォーマットの点検表や点検結果報告書があれば、報告に必要な時間は目安ができます。

基本的には長ければ、それだけ項目を丁寧に伝えられます。

と言っても、30分以上だらだら説明されては、お客様も疲れてしまいます。

お客様とお車の状態にあった説明時間を心がけましょう。

要整備箇所などお伝えする項目が多い場合は、整備が必須の箇所から説明するなど工夫するのもいいです。

社内でロープレを定期的に行い、基本の報告パターンを作ると、新人育成にも役立てられます。

 

提案の質

 

提案の質を上げるには、お客様の情報を収集することが大切です。

年間走行距離 消耗品類の交換時期は、走行距離と深い関係があります。年間5,000kmの車と20,000kmの車では提案内容は大きく変わります。この走行距離を把握せずに提案すると苦情を頂くか、次回ご利用されることなく他社にお客様が流出します。
乗り換えの意向 こちらも大切です。車検や故障修理などの際は必ず質問するようにしましょう。お客様のご意向にあった提案が大切です。この質問をすることで、乗り換え情報の収集になります。
普段運転している本人様か ご入庫頂いた方が、普段運転されるご本人かどうかを受付時に確認しておきましょう。奥様がご来店で詳しいことは分からないという場合もあります。その場合は、奥様に変わってご主人様に電話で説明するという提案も一言添えると喜ばれます。
普段のメンテナンス オイル交換以外は車検だけというお客様。定期点検も抜けなくお受けいただくお客様。お客様のメンテナンスのリズムに合わせた提案も可能です。車検がメインのお客様なら次回車検までのスパンで整備するかどうかの判断が必要です。
整備履歴は 多くの整備工場でブロードリーフや一等書記官といった顧客管理システムが導入されていると思います。お客様の整備履歴を確認しながら、提案を受けると信頼はグンとアップします。ですからシステムには出来るだけ細かな情報を入力しておくことが大切です。

上記の情報収集に加え、

女性と男性でも使う言葉を変えたり、耳が遠い高齢者の方、初心者の方、車好きの方など、お客様に寄り添った提案が求められます。

 

徹底度合い

 

丁寧な説明時間をかけ提案の質を上げても、それらを徹底する度合いが低ければ、収益に反映されるインパクトは小さくなります。

例えば、車検台数100台、平均1台当たり粗利50,000、説明と提案の徹底20%で、粗利益改善10%とすると、

普段通りなら、単価50,000×100台=粗利益5,000,000

改善後は、

単価50,000×80台=粗利益4,000,000 +

単価55,000(50,000×110%)×20台(100台×20%)=粗利益1,100,000

=5,100,000 (収益改善2%

このようになります。

全体に対するインパクトが小さいと改善活動が継続されずに元の体質に戻っていきます。

これはダイエットに近いと思います。一時的に頑張って効果が出たが、途中で成果が見えにくくなると諦めてしまう。

しっかり、日次、週次、月次で行動を管理してコツコツ取り組んでいきましょう。

ご質問などございましたら、お問い合わせフォームよりおねがいします。

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